第1部:活動の時系列まとめ(デビュー〜2020年)
AZKiは2018年11月15日に「Virtual Diva AZKi」としてデビューした。
当時はカバー株式会社が運営する音楽特化の新プロジェクトとして誕生し、リアルなライブを目指すための長期計画が掲げられた。
その計画では、初ライブに向けて8ヶ月間で12曲のオリジナル曲を発表するという大胆な目標が設定されていた。
デビュー直後の2018年12月には、記念すべき第1弾楽曲「Creating world」がリリースされ、音楽活動の幕が上がった。
この楽曲には“新しい世界を創造する”というテーマが込められており、AZKiの活動の方向性を明示する象徴的な楽曲となった。
当初はアニソンやボーカロイドのカバー動画を中心に週1回の投稿を行い、ファンとの接点を増やしていった。
初の生配信は2018年12月下旬に実施され、そこで簡単な自己紹介や活動開始から1ヶ月の振り返りが行われた。
配信内では「将来自分で作曲し、たくさんの人に歌ってもらえるような曲を作りたい」と、明確な夢を語っている。
また、この配信を通じてファンによる愛称投票が実施され、「AZちゃん」という愛称が決定した。
さらに、ファンネームは「開拓者」と命名され、共に音楽の新天地を切り拓く仲間としての絆が築かれ始めた。
2019年にはライブ活動が本格化する。
5月には東京・秋葉原エンタスにて「AZKi 1stワンマンライブ『The Shitest Start』」を開催。
ライブタイトルには“クソみたいな始まり”という挑戦的な意味が込められ、ライブシーンでの活躍を誓う原点の舞台となった。
このライブでは、星街すいせいとの新ユニット加入がサプライズで発表され、「イノナカミュージック」の始動が告知された。
この発表により、AZKiはホロライブとの正式な連携を始め、「ホロライブ0期生」の一員として扱われることになる。
ライブはその後も定期的に開催され、7月には「2ndワンマンライブ『A GOOD DAY TO DiE』」、
9月には「3rdライブ『レペゼンエンタス』」、そして12月末には「4thライブ『REPEAT THiS LiFE WiTH U』」が実施された。
並行して、2019年11月には1stアルバム『without U』がリリースされ、初期のオリジナル楽曲群が1枚に集約された。
この時期は“ライブを重ねながら音楽を残していく”というAZKiの初期ビジョンが最も色濃く体現された時期でもある。
2020年にはコロナ禍の影響により、ライブは無観客配信形式へと移行する。
7月には「5thライブ『R.I.P AZHOOD』」を無観客で実施し、最新曲「青い夢」を含む26曲を披露した。
12月には「6thライブ『Re:Creating world』」を開催し、AZKiの活動の再構築をテーマに27曲のパフォーマンスを届けた。
同月には2ndアルバム『Re:Creating world』もリリースされ、配信ライブでの楽曲と新曲が詰め込まれた作品となった。
この年は“オンラインでも歌い続ける”という強い意志が活動全体に表れた一年だった。
第2部:活動の時系列まとめ(2021年〜現在)
2021年4月11日、AZKiは大きな節目となる「7thライブ『Stand at the crossroads』」を開催した。
このライブはYouTube上で全編無料配信され、「分岐点に立つ」という副題が象徴するように重要な発表があった。
それは、当初予定されていた「2022年7月で活動終了」という計画を撤回し、活動継続の道「ルートβ」を選ぶという内容だった。
ライブ中、AZKiは「応援してくれる開拓者のみんなが繋ぎ止めてくれた」と涙ながらに語り、ファンとの絆を改めて強調した。
この発表は、初ライブを行った秋葉原エンタスという原点の地から届けられ、深い意味を持つ演出となった。
活動継続を表明した後も、AZKiは多彩な音楽活動を展開していく。
2022年3月には長年プロデュースを担当してきたマネージャー・ツラニミズ氏の退任が発表される。
それに伴い、「イノナカミュージック」は事実上の解散となり、AZKiは2022年4月1日付でホロライブ本体へ正式に移籍した。
この移籍により、AZKiは名実ともに「ホロライブ0期生」となり、活動の幅もさらに広がっていく。
音楽活動に加えてゲーム実況や雑談配信も増加し、VTuberとしての一面も強く打ち出されるようになった。
2022年後半には4ヶ月連続の新曲リリース企画を実施。
この期間、AZKiは自身で作詞・作曲も手がけ、アーティストとしての表現力をさらに深めた。
中でも星街すいせいとのデュエット曲「The Last Frontier」は、自作詞・作曲による楽曲でファンに強い印象を与えた。
また、ときのそらとの音楽ユニット「SorAZ」としての活動も継続し、コラボ曲やライブ出演を通じて絆を深めた。
この頃から、ホロライブの外部イベントにも積極的に出演するようになり、より広い層にその存在を知られるようになる。
2023年にはメジャーデビューに向けた動きが加速する。
10月4日、ビクターエンタテインメントよりメジャーデビューEP『3枚目の地図』をリリース。
「ルートγ=第3の道」を象徴する作品であり、AZKiが“諦めなかった歌”の結晶とも言える内容となった。
収録曲「エンドロールは終わらない」は、「いのち」の作曲者・瀬名航が再び手がけた力強いリードトラックである。
EPリリースに合わせて、各種インタビューやイベントも実施され、メジャーシーンへの本格進出が始まった。
2024年にはさらに大きな飛躍を遂げる。
4月にはYouTubeチャンネル登録者数が100万人を突破し、VTuberとしての人気も確固たるものとなった。
7月24日にはメジャー1stアルバム『Route If』をリリース。
このアルバムには豪華クリエイター陣による書き下ろし楽曲と、AZKi自身の代表曲「いのち(2024 ver.)」も収録された。
アルバムリリースに合わせて、8月3日には神奈川・KT Zepp Yokohamaでのワンマンライブ「声音エントロピー」も開催。
このライブは約4年半ぶりの有観客単独公演となり、昼夜2部構成で実施された。
チケットは即日完売し、9月には東京・豊洲PITでの追加公演も実施される盛況ぶりを見せた。
長らく配信中心だったAZKiがファンの前に再び立ち、圧倒的なパフォーマンスで会場を魅了した。
2025年3月にはホロライブ全体の音楽イベント「hololive 6th fes」にも出演し、存在感をさらに高めた。
現在も精力的に活動を続けており、今後の展開にも大きな注目が集まっている。
第3部:音楽活動の詳細
AZKiの活動の根幹を成すのは、何よりも音楽である。
彼女のデビューはそもそも「音楽活動を中心としたバーチャルアーティスト」という構想から始まっており、そのコンセプトは一貫して現在まで続いている。
AZKiの歌声は、透き通るような透明感と繊細な感情表現を併せ持ち、多くのリスナーを魅了してきた。
音域の広さと安定した歌唱力に加え、ライブでは情熱的なパフォーマンスで空間を支配する力強さも発揮する。
デビュー初期には12曲のオリジナル曲を8ヶ月で公開するという過密なスケジュールのもと、オリジナル楽曲を次々と発表していった。
この時期の楽曲は「AZKi WHiTE」と「AZKi BLaCK」という2つのカテゴリに分けられ、それぞれ異なる音楽性が特徴だった。
「AZKi WHiTE」は優しさや希望をテーマにしたポップ系楽曲、「AZKi BLaCK」は情熱や闇をテーマにしたロックやダーク系の楽曲に分類される。
この二面性は彼女の音楽的な幅広さを示すものであり、ファンにも強く印象づけられた。
代表曲として最も有名なのが「いのち」である。
この楽曲は2019年に発表されたAZKiの代表作で、作詞・作曲は瀬名航が担当した。
命の尊さや刹那の輝きをテーマにした歌詞と、AZKiの情感豊かな歌唱が見事に融合しており、多くのファンの心に深く刻まれている。
「いのち」はライブでも定番の楽曲となっており、2024年には「いのち (2024 ver.)」として再録され、メジャー1stアルバムにも収録された。
このように、AZKiの音楽には彼女自身の歩みと想いが強く込められている。
他にも「フェリシア」「リアルメランコリー」「いざゆけ!あづきちゃん☆」など、多彩なオリジナル曲を発表しており、いずれも高い評価を受けている。
また、星街すいせいとの共作「The Last Frontier」や、ときのそらとのユニット「SorAZ」の「紅と藍」など、コラボ楽曲も数多い。
これらの曲ではAZKi自らが作詞・作曲を手がけており、単なるボーカリストにとどまらない表現者としての側面を強く打ち出している。
アルバムとしては、2019年に1stアルバム『without U』を、2020年に2ndアルバム『Re:Creating world』をリリース。
これらは初期活動の集大成として、ライブでのパフォーマンスと密接に結びついた重要な作品群である。
2023年のEP『3枚目の地図』はメジャーシーンでの第一歩を示す作品であり、音楽的にもより洗練された内容となった。
そして2024年の『Route If』は、過去の代表曲と新曲を織り交ぜたコンセプチュアルな1枚となっている。
同作にはミト(クラムボン)、Q-MHz、ヒゲドライバー、やなぎなぎなど著名アーティストが参加し、AZKiの音楽性の広がりを示している。
ライブ活動もAZKiの魅力の大きな要素だ。
初期は秋葉原エンタスなど小規模な会場での公演が多かったが、配信技術の進化とともに無観客配信やAR演出を駆使したライブも積極的に行った。
2020年以降はコロナ禍の影響もあり、全編オンラインのライブが中心となったが、演出やセトリの工夫により高い評価を得ている。
2024年には約4年半ぶりとなる有観客ワンマンライブ「声音エントロピー」を開催し、満員の会場でファンとの再会を果たした。
ライブでは毎回異なるテーマが設けられ、ストーリー仕立てのMCや映像演出も含めた一貫した構成が行われている。
また、AZKiは歌ってみた動画やカバー活動にも力を入れている。
YouTubeではボカロ曲やアニソン、他ホロライブメンバーの楽曲などを多数カバーし、いずれも高品質な歌唱で人気を集めている。
その中には100万再生を超える動画も存在し、VTuber界でもトップクラスのカバー実績を誇っている。
音楽的な探求心と柔軟なジャンル対応力により、新曲やトレンド楽曲への対応も早く、常にフレッシュな印象を与えている。
AZKiの音楽活動は、単なるVTuberの枠を超えた本格的なアーティスト活動である。
作詞・作曲・ディレクションなどにも関わりながら、自らの世界観を音楽で表現し続けてきた。
彼女の音楽は、聴く人の心に寄り添い、時には背中を押し、時には涙を誘う力を持っている。
VTuberという枠組みを活かしながらも、アーティストとしての矜持を忘れず、挑戦を続けるその姿勢こそが、多くのファンを惹きつけてやまない。
第4部:キャラクター設定やファンとの関係性
AZKiのキャラクター設定は、デビュー当初から「Virtual Diva(仮想世界の歌姫)」という肩書きで一貫している。
これは単なるVTuberという枠にとどまらず、音楽を通じて人々とつながり、新たな世界を共に創造していく存在であることを意味している。
彼女は「新しい世界を創るために転生した歌姫」として、ファンと共に仮想空間での音楽活動を切り拓いていく物語を体現してきた。
ビジュアルは黒髪ロングに赤や白を基調とした衣装で、どこか神秘的な雰囲気を纏っている。
デビュー当初の衣装には目の下にピンクのフェイスペイントが施されており、個性的な印象を与えていた。
2021年の新衣装ではそのフェイスペイントがなくなり、代わりに左目の下に泣きぼくろが追加された。
このデザイン変更は「ルートβ」への移行を象徴するものであり、過去を受け入れつつ未来へ進むという意志が込められている。
新衣装は白を基調としたモダンで洗練されたデザインで、「大人のAZKi」を表現したスタイリッシュな姿となった。
性格面では、普段は落ち着いた話し方と穏やかな口調が特徴で、初見のリスナーにも安心感を与える。
その一方で、ライブや歌唱パフォーマンス時には情熱的かつ力強い一面を見せるギャップも魅力の一つである。
配信では丁寧で聞き取りやすい語り口調を心がけており、リスナーとの雑談やコメント読みも好評を博している。
このような誠実で真摯な姿勢は、長年ファンを惹きつけ続けている大きな要因である。
ファンとの関係性は、AZKiにとって非常に重要な要素である。
ファンの名称は「開拓者」とされ、これは共に新しい音楽世界を切り拓く存在という意味が込められている。
AZKiは活動初期から「ファンと一緒に物語を作りたい」と語っており、その姿勢は今も変わらない。
ライブや配信のたびに「みんながいてくれるから私は歌い続けられる」と感謝の言葉を述べることが多く、
ファンもまた彼女の活動を支え、応援することでAZKiの物語の一部となっていると感じている。
配信中にはリスナーからのコメントを拾って雑談を展開したり、リクエストに応じて即興でカバー曲を披露することもある。
YouTubeメンバーシップでは限定配信やファンクラブ的コンテンツを提供しており、より深いファンとの交流を大切にしている。
また、SNS(X)でも頻繁に発信を行い、ファンからのリプライに「いいね」や返信をするなど、距離の近い対応が印象的だ。
リアルイベントでもファンへの配慮が随所に見られる。
ライブMCでは感謝の気持ちを何度も伝え、アンコールの際にはファンの姿を一人ひとり目に焼き付けるように手を振る。
2024年の有観客ライブでは、昼夜2公演の合間に自らロビーに現れて展示物を眺めるサプライズもあり、ファンを驚かせた。
AZKiにとって、ファンは一方的に応援される存在ではなく、共に音楽を創り上げていく仲間である。
キャラクターとしての物語性もファンとの関係を深める要素となっている。
ルートα、ルートβ、ルートγと分岐する自身の歩みを、ライブや歌詞、MCで語ることで、ファンもその歴史を共有している。
例えば、楽曲「オーバーライト」は「ファンとの思い出で未来を上書きしていこう」というメッセージが込められた楽曲で、
ライブではファンもサイリウムの色や掛け声で応える演出が定番となっている。
ホロライブメンバーとの関係性も良好で、ときのそらや星街すいせいとの親交が特に深い。
ときのそらとは「SorAZ」としてユニット活動を行い、コラボ楽曲やトーク配信を定期的に行っている。
星街すいせいとはイノナカミュージック時代からの盟友で、互いのライブに出演し合うなど強い絆がある。
後輩メンバーからは「歌のお姉さん」として慕われる一方、ゲーム配信などでは天然な一面を見せてイジられることもある。
このような多面的な魅力と周囲との良好な関係性も、AZKiの人気を支える大きな要素となっている。
AZKiは、音楽でつながることの尊さを常に大切にしている。
彼女が掲げる夢は「誰かの記憶に残る音楽を作ること」であり、それを叶えるために今も走り続けている。
ファンとともに作ってきたこれまでの軌跡は、彼女にとってもファンにとってもかけがえのない財産である。
これからもAZKiは、歌と感謝の気持ちを胸に、新たな世界を開拓し続けていくだろう。
終わることのない音楽の旅路を、開拓者と共に歩み続ける——それがAZKiという存在である。
管理人のあとがき
AZKiという存在は、ホロライブの中でも少し特別な立ち位置にいるタレントだと、改めて感じます。
彼女の物語には、よくある「人気VTuberとしての成功」というだけでは語りきれない、音楽に対する覚悟と、ファンとの深いつながりが根底にあります。
特に“ルートβ”以降の活動継続という決断には、VTuberという枠を超えて、一人の表現者として生きようとする姿勢が色濃く現れていました。
また、メジャーデビューという大きなステップを踏んだ今でも、「歌を届けたい」という純粋な想いは全くブレていません。
そうした姿勢に共鳴し、「この人の歌をもっと多くの人に知ってほしい」と願うファンが、開拓者としてずっと寄り添い続けているのだと思います。
私自身、AZKiのライブ配信やMVを何度も見てきましたが、どの曲にも彼女の人生の断片が込められているように感じます。
音楽活動を軸にしたVTuberは増えていますが、その中でも「本気で音楽を主軸に据えた活動を、5年・6年と続けている存在」は稀有です。
この記事が、まだAZKiを知らなかった方や、名前は知っているけど詳しく追えていなかったという方の一助になれば嬉しいです。
そしてこの記事をきっかけに、AZKiの音楽や配信に触れてくれる方が一人でも増えてくれたなら、管理人としては本望です。
これからも、AZKiの“終わらないエンドロール”を、ファンのひとりとして見届けていきたいと思います。
次回のライブも、新曲も、何が来るか楽しみに待ちましょう。
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