ホロライブ0期生 ときのそら

デビューと初期の活動(2017〜2018年)

2017年9月7日、ときのそらは活動を開始し、ホロライブプロダクション初のバーチャルアイドルとなった。
当初は主な配信プラットフォームがニコニコ生放送であったため、自らを「バーチャルYouTuber」ではなく「バーチャルJK(女子高生)」と称していた。
初回となる2017年9月7日の生放送はVR空間から行われ、参加した視聴者は関係者を除けば約13人だったと後に語られている。
配信では試行錯誤が続いたが、そらは友人でもありスタッフでもある「友人A」(えーちゃん)と二人三脚で番組を作り上げていった。
同年12月12日からはYouTubeでの本格的な配信活動も開始し、徐々にファン層を広げていく。

2018年になるとカバー株式会社が運営する「ホロライブ」のVTuberプロジェクトが本格化し始める。
3月には後輩となるロボ子さんがデビューし、5月にはときのそらの新衣装がお披露目された。
さらに2018年中頃からはホロライブ1期生・2期生のメンバーが次々とデビューし、同年末までにさくらみこ(当初別プロジェクト所属)もホロライブに合流した。
このように2018年にはホロライブ全体の枠組みが整い始め、ときのそらは少人数だった初期から徐々に大所帯となるグループの中で活動を続けていくことになる。

ホロライブ創設と「0期生」としての立ち位置

ときのそらのデビュー当時、まだ「ホロライブ」というグループ名やホロライブプロダクションの名称は存在していなかった。
カバー株式会社はもともとVR/AR事業を展開しており、2017年12月に配信アプリ「hololive」の提供を開始する。
そして翌2018年6月、満を持して女性VTuberグループ「ホロライブ」が正式に立ち上げられた。
この流れの中で、ときのそらは「ホロライブ0期生」とも称され、後に加わるメンバーたちの原点的存在となる。

ホロライブ創設期において、ときのそらは唯一無二の看板的存在であった。
彼女は「横浜アリーナでライブをする」という大きな夢を掲げ、日々の配信や歌動画投稿に励んだ。
当初スタッフや共演者が極めて少ない環境で活動を始めたそらにとって、後輩たちが増えていく過程は自身の役割を再認識する機会でもあった。
彼女はホロライブ全体の顔役・センター的ポジションとして扱われることも多く、メディアから「VTuberグループ・ホロライブの中心」と評されることもあった。
いわばホロライブというプロジェクトの黎明期を支え、その方向性を切り拓いてきた功労者がときのそらなのである。

活動の拡大:代表的なイベント出演・ライブ

デビューからしばらくは配信活動が主体であったが、2018年頃から外部イベントへの出演も始まった。
中でも「ニコニコ超パーティー2018」(2018年11月3日、さいたまスーパーアリーナ)では、大観衆の目前でライブパフォーマンスを披露し、大きな歓声に包まれた。
ステージに現れた瞬間に会場のサイリウムが一斉にそらのテーマカラーである青色に染まった光景に、本人も感激したと振り返っている。
これは無名同然だった初配信からわずか1年強で、1万5千人規模の観客を前に歌う機会を得た象徴的な出来事だった。

2019年にはときのそらの活動がさらに本格化する。
3月にはメジャーデビュー(アルバム発売)の告知に伴い、各種メディア出演やインタビューが増加した。
4月にはテレビ東京系列のVTuberドラマ『四月一日さん家の』にて、三姉妹の長女・四月一日一花役を演じ、女優デビューも果たす。
また7月からは富士葵と共にTOKYO FMのラジオ番組『そらあおと!』のパーソナリティを務め、ラジオDJとしての新境地も開拓した。
このように配信者の枠を超えて女優・ラジオMCとして活動の幅を広げたそらは、「様々なジャンルでアクティブに活躍するVTuberアイドル」の先駆けとなっていく。

2019年10月6日、東京・Veats Shibuyaにて初の単独ライブ「Dream!」を開催し、自身の夢に向けた一歩を記した。
このライブは昼間にホロライブ有志メンバーによる前座イベント「ホロライブ オン ステージ -でいどり~む-」が行われ、夜にときのそらのワンマンステージという構成だった。
ライブ本編ではオリジナル曲からカバー曲まで全21曲を熱唱し、終演後にはVTuber仲間からのビデオメッセージも上映されるなど、VTuber界全体から祝福を受ける内容となった。
観客席を埋め尽くす青いペンライトの海に「ちゃんとみんなのこと見えてるよ!」と何度も応えるそらの姿は、念願の単独ライブを目に焼き付けようとする強い想いが感じられる感動的なシーンだった。

以降も定期的にライブ活動は続く。
2020年11月29日には2ndソロライブ「パラレルタイム」をバーチャル空間上で開催した。
この公演はオンライン限定だったが、最新AR技術を駆使した演出が取り入れられ、2ndアルバム『ON STAGE!』収録曲を中心に披露した。
2022年1月22日には劇場型カバーライブ「Role:Play」を開催し、さまざまな楽曲を演劇仕立てで歌う新たな試みに挑戦した。
2022年11月19日にはデビュー5周年を記念した「ときのそら 5th Anniversary Live『宇宙と時空のミルキーウェイ』」を開催し、VTuber生活5年間の集大成をファンに届けた。

ホロライブ初の合同コンサート「hololive 1st fes. ノンストップ・ストーリー」以降、年次ライブやスーパーエキスポにも毎回出演している。
2023年7月にはロサンゼルスで開催されたホロライブEnglish初の海外コンサート「Connect the World」に特別ゲストとして登場し、世界中のファンに歌声を届けた。
このように国内外を問わず精力的にライブ出演する姿は、「ホロライブの歌姫」としての地位を不動のものにしている。

音楽活動:メジャーデビュー、アルバムと楽曲リリース

2019年3月27日、ときのそらはビクターエンタテインメントから1stアルバム『Dreaming!』をリリースし、メジャーデビューを果たした。
収録曲はすべてオリジナル曲で構成され、有名ボカロPや作曲家陣の提供による楽曲が多数収録された。
VTuberとして培った歌唱力と表現力を詰め込んだこのアルバムは、オリコンデイリーランキングで12位を記録し、VTuberシーンにおける音楽展開の成功例となった。

その後もコンスタントに音楽作品を発表している。
2020年3月にはミニアルバム『My Loving』をリリースし、自身の好きな楽曲や新曲を含む意欲作となった。
同アルバムにはAZKiとのデュエット曲「刹那ティックコード」も収録され、異なる歌声を持つ2人のコラボレーションが話題を呼んだ。
2020年10月には2ndフルアルバム『ON STAGE!』を発表し、ライブで盛り上がるアップテンポ曲からバラードまで幅広いジャンルを網羅した内容でファンを楽しませた。
2021年11月の3rdアルバム『Re:Play』では、自身初のカバー曲集に挑戦し、活動の歩みを楽曲で辿る意義深い作品となった。
2022年9月7日には4thアルバム『Sign』をリリースし、VTuberアイドルとしてさらなる成長を感じさせるオリジナル曲を発表した。
2023年2月にはEP『Beyond』を発売し、新章への意気込みを込めた曲を届けている。
2024年3月には2ndミニアルバム『STAR★T』をリリースし、精力的な音楽制作を継続した。

音楽レーベルは一貫してビクターエンタテインメントに所属しており、VTuberとしては先駆的な存在となっている。
その後、AZKiや星街すいせいなど音楽志向のタレントが続く中、ときのそらは「ホロライブの歌のエース」として常に中心的役割を担ってきた。

2023年には同じレーベルメイトであるAZKiとのユニット「SorAZ」を本格始動させ、12月20日にメジャーデビューアルバム『Futurity Step』をリリースした。
SorAZとしては過去にもコラボ楽曲を発表していたが、このアルバムがユニット初のフルアルバムとなり、新曲やデュエット曲を多数収録している。
2024年1月27日にはSorAZ名義でのワンマンライブ「First Gravity」が開催され、ユニット初のリアル会場ライブを成功させた。

転機とマイルストーン

ときのそらの長い活動の中では様々な転機やマイルストーンがあった。
一つの大きな節目は、YouTubeチャンネル登録者数100万人の突破である。
2022年7月27日、ときのそらは活動5年目にして100万人を達成し、ファンやホロライブメンバーからも盛大に祝福された。

また、ホロライブ内外の垣根を越えたコラボレーションも転機の一つである。
初期のときのそらは同期や先輩のいない唯一の存在であり、他のメンバーとの接点が少なく、孤高の存在という印象も強かった。
後輩たちの間では「そら先輩とどう接していいかわからない」といった声もあり、神聖視されていた面があった。

しかし、2020年から2021年にかけてのホロライブ全体での大型企画や合同ライブによって、他メンバーとの交流が活発になっていく。
特にさくらみこはかねてより熱心な「そら推し」を公言しており、企画を通じて共演を果たす機会が増えていった。
また、4期生の桐生ココは物怖じせず積極的にそらへ絡みにいき、交流の輪が広がっていった。

その後、ときのそら自身も後輩とのコラボ配信に積極的に参加するようになり、夏祭り企画やマイクラ体育祭では先輩代表として進行役や審査員を務めるなど存在感を示した。
「ホロライブの大先輩」として確固たる地位を築きながらも、壁を作らず皆と楽しむその姿は、ファンにもメンバーにも頼もしく映っている。

他メンバーとの関係・コラボレーション

ときのそらはホロライブ随一の古参メンバーであり、後輩たちから非常に慕われている。
敬意を込めて「そら先輩」あるいは「そらちゃん大先輩」と呼ばれることが多いが、本人は気さくで優しい性格であり、新人メンバーにも分け隔てなく接している。
ロボ子さんとは初期からの交流が深く、互いのチャンネルでのコラボ配信も多い。
さくらみことは0期生同士でもあり、共演する機会が非常に多く、みこは「そら先輩は永遠の目標」と語っている。
AZKiとはユニットSorAZとして音楽活動を展開し、ライブやアルバム制作を共にしている。
1期生以降では白上フブキや大空スバルなどが積極的に絡み、先輩後輩の関係性を超えた温かなやり取りが見られる。

海外メンバーではホロライブインドネシアのアイラニ・イオフィフティーンがそらの熱烈なファンであり、デビュー前から交流がある。
配信やイラスト提供などで強い絆を築き、国境を越えた交流の一例となっている。

ときのそら自身もホラーゲームやバラエティ系の配信では後輩をリードする存在となり、時にはツッコミ役に回ったりと、柔軟な立ち回りを見せている。
清楚で真面目なイメージの裏に、親しみやすさやユーモアも感じられる。
彼女の存在は、ホロライブの世代間を繋ぐ象徴であり、今もなおその役割を果たし続けている。

最近の動向(2024〜2025年)

2024年以降も、ときのそらは精力的に活動を継続している。
SorAZとしての音楽活動が本格化し、2024年1月には初のワンマンライブを成功させた。
さらに、初のアニメタイアップという大きなニュースも話題を呼んだ。
2024年7月より放送のTVアニメ『僕の妻は感情がない』にて、新曲「おかえりなさい」がオープニング主題歌に採用された。
この曲は温かみのあるバラードで、アニメの世界観に寄り添う作品となっている。
シングルCDは2024年9月に発売され、音楽チャートにもランクインした。

2024年4月には6周年記念イベント「Keep Shinin’」が開催され、新衣装のお披露目も行われた。
また、ホロライブ5周年プロジェクトにも積極的に関与し、創設メンバーとして改めてスポットライトを浴びた。
2025年には誕生日配信で声優やアーティストをゲストに招いたコラボ歌唱も実施され、演出の幅をさらに広げている。

現在、ときのそらのYouTubeチャンネル登録者数は着実に増え続け、動画総再生回数も大台を超えている。
VTuber界が群雄割拠の様相を呈する中、ときのそらは「ホロライブの魂」とも言える存在感を放ち続けている。
新規ファンにとってはホロライブの歴史そのものを体現する存在であり、古参ファンにとっては成長を見守ってきた誇らしい推しでもある。
デビュー当初からの夢である「横浜アリーナで単独ライブ」はまだ実現していないが、着実に実力と実績を積み上げてきた今、決して遠い夢ではない。
ときのそらはこれからもホロライブの象徴として、そしてひとりのバーチャルアイドルとして、新たな歴史を刻んでいくに違いない。

管理人のひとこと

ときのそらさんは、いまのホロライブがここまで大きな存在になるきっかけを作った、まさに“始まりのアイドル”です。
私自身、最近ホロライブに興味を持ったばかりなのですが、過去の資料を読み込めば読み込むほど、そらさんが積み重ねてきた努力の重みと、彼女が示してきた未来への希望に胸を打たれました。

誰もいないステージに立ち、夢だけを語りながら活動を始めた少女が、いまでは世界中にファンを持つホロライブの顔として愛されている。
その過程にある小さな喜びも、大きな挑戦も、すべてが現在のホロライブの土台になっていることがわかります。

ときのそらさんを知ることは、ホロライブを知ること。
そして、ホロライブをもっと楽しむための最高の入口になると、私は思います。

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